レーシック 視力回復手術 助兵衛の随筆 潜行三千里、おもしろそうなところを引用

潜行三千里、おもしろそうなところを引用

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画像 辻政信


「潜行三千里」は1950年に元日本陸軍高級参謀で、終戦後国会議員にもなった辻政信が発表した本だ。
中国国民党の腐敗ぶりを赤裸々に書いてあったため、朝日新聞が出版を拒否、毎日新聞社から出版された。
タイバンコクにて敗戦をむかえた日本陸軍参謀辻政信大佐が東亜連盟をなしとげるためスパイになり、タイやベトナム、中国に潜伏した時の記録である。
この本はいろいろぼやかしてあったり、不自然に書いてないこともある。
辻自身が戦犯として訴追、批判されないために書いていないことがあったり、アメリカの工作活動をするために中国国民党に送り込まれた元日本兵の名前が書いていなかったりする。
私はこの本を読んで、辻政信という人間の人格にふれることができ、1945年~1950年の東南アジアの民衆の風俗が赤裸々に書かれていることがおもしろかった。
東南アジアを転々としながら潜伏、現地の庶民と同じような暮らしをした辻は東南アジアの不潔な公衆衛生がおおいに不満だったようでしきりにそれについて書いている。
また辻は中国国民党の情報機関のトップであり、規律違反をした部下を多数殺した戴笠を絶賛している。
辻は戴笠について「彼ほど多くの人を殺したものは中国の永い歴史の中にも少ないだろう。」としながらも、中国国民からは人気があったとしている。
この戴笠という男、辻政信によく似ている。
辻も多くの部下を自殺に追い込み、多くの市民を虐殺したといわれている男であって、当時の日本人には高い人気があって国会議員に当選している。
私はこの本を読んで潔癖症で部下のミスには異常に厳しく、目的のためなら多くの罪なき人も殺す辻の人間像がうかびあがってきた。
辻が戴笠を「潜行三千里」でえらくもちあげているのは自分が戦争中行った悪行を無意識に正当化しようという心理が働いたのではないか。
辻自身が戦争中犯した虐殺を正直に本に書いて正当化してみせたならば、まちがいなくGHQに戦犯として逮捕されただろう。
終戦直後の日本と中国で多くの人間を殺した人間が人気者だったというのは興味深い話だ。
私はこの本を読んで辻政信という人はなるほど優秀だとは思ったが、人間としては病的なところがあるなと思いました。
そして辻政信の精神病理を21世紀の日本人も受け継いでいると感じます。

「潜行三千里」の冒頭「招かれざる客」には慰安婦が登場する。

潜行三千里より引用
六月八日初の例大祭に参拝した。司令部の将兵全員とバンコクの居留民代表が朝早くからお詣りする。
神籬の内に、拝殿に向かって右側には将校が、左側には居留民代表が朝早くからお詣りする。
召集将校の中に本職の神官がいる。白装束、烏帽子の謹厳な姿で祝詞をあげている際に、前に向き合っている一群の若い女性たちがしきりに対面の将校にモーションをかけている。神域に不似合いな光景であった。
帰ってから調べてみると、この若い女たちは将校慰安所の女であり、偕行社の給仕であった。
彼女らもある意味において、それぞれの役割を果たしているのであろう。身分も軍属である。


2007年にアメリカ合衆国下院121号決議で慰安婦問題が再燃した時に慰安婦が軍属であったかどうかでネット右翼が騒いでいたが、辻政信によると慰安婦は軍属で決まりのようである。
将校慰安所というのは高級将校専用の慰安婦だろうか?
昔からなにごとも格差社会なのである。

中国国民党邢中将はアメリカが戦争に勝ち、日本が負けたことについてこう言っている。

潜行三千里より引用
「日本の敗戦は政治の方向を誤ったからだ。中国に戦をしかけたのがその出発点であり、米国に挑戦したのがその到着点である。神様は最も公平である。世界で一番人道的な米国に原子弾を与えた。もし米国に先だってドイツやソ連や日本に与えていたら、世界の人類は滅びたかもしれぬ。今後の日本は過去の侵略政策をやめて、人道主義の国となり、中国と仲よくしなけらばならぬ。」
これが重慶地下工作(藍衣社)の南方における総元締たる邢中将の、おそらくは日本人に対する第一声であった。


Wikipediaによると中国国民党の情報・工作機関である藍衣社は1938年に解散とあるが、終戦後も変わらずに存続し続けたようだ。
政治的な理由により表向きは解散したが、実は存続したのだろう。
そもそもインテリジェンス機関がない国などありえない。
中国国民党邢中将のアメリカが人道的だからこそ戦争に勝利したという見方はなかなか深いものがある。
中国のお偉いさんであった邢中将は儒教に精通している人物だったのかもしれない。
道のあるものが戦争に勝ち、国をうまく統治することができるというのが東洋哲学、儒教の思想だ。
広島、長崎への原子爆弾投下や東京大空襲で日本の女子供を大量に虐殺したアメリカが人道的と言われても日本と五十歩百歩じゃないかと言い返したくもなります。
しかし国民の民度、精神文化がその国の将来を決めるということはひとつの真理ではないでしょうか。


参考文献

辻政信「潜行三千里」
メコンプラザ メコン圏と大東亜戦争関連書籍 第7回 『潜行三千里
有馬 哲夫『大本営参謀は戦後何と戦ったのか』、新潮社[新潮新書]、2010年。
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テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

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何時もお世話になっていると聞きました。ありがとうございます。!お礼の、応援に行きました。!
叔父は未だ暫く療養します。宜しく!!

響さんへ

応援コメントありがとうございます。
こちらこそいつもお世話になっております。
おじさんが療養なさるとのこと、くれぐれもお大事になさってください。
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怒助兵衛

Author:怒助兵衛
エッセイスト。
随筆はじめました。
マスコミが書けないタブー書きます。
政治経済、歴史、娯楽など気の向くままに随筆を書いていきます

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