禊(みそぎ)は具体的に御利益はあるのか?
図 斉明天皇も使ったであろう酒船石遺跡の亀形石造物、古代の和式便所……ではありません^^;
禊(みそぎ)は飛鳥時代の天皇、大王(おおきみ)もやっていた神事です。
ある学者によると、女性であり、大規模な土木工事や北海道への軍事遠征をした斉明天皇も禊(みそぎ)をしたそうです。
上記の奈良県高市郡明日香村の酒船石遺跡の亀形石造物の画像は当時は水が流れていた水道施設と考えられ、その水は禊などの神事にも使われたのではないかと考えられています。
昔女性である斉明天皇は中大兄皇子(天智天皇)の傀儡であったように解釈されていたことも多かったようですが、現在の歴史の研究者は斉明天皇は強力なリーダーシップをもっており政治を主導していたと考えています。
乙巳の変も斉明天皇の命を受けて中大兄皇子が蘇我氏をほろぼしたとみるのが妥当でしょう。
禊(みそぎ)は具体的には清冽な川や海にはいって水で体を清めることです。
今でも神官は禊(みそぎ)をしているそうです。古来から伝わる祭りでも、海や川にはいったりするのは禊の影響だと言われています。
斉明天皇は、君(きみ)とよばれる地方の豪族や蝦夷の首長を本拠地の奈良盆地によびつけ、一緒に川で禊をしたそうです。
なぜ禊をしたのかという目的ははっきりわかっていません。
最近産経新聞のある記事で禊を思い出させるものがありました。
「駅のトイレ、なぜ石けんがない?」という記事で、それによると、トイレの後に水で手を洗うだけでウイルスが100分の1に減少するそうです。
石鹸をつけて洗うとウイルスは1000分の1に減少します。
私は水で手をあらうだけでは除菌効果ないだろうと思っていましたが、それは間違っていました。
飛鳥時代以前から行われていた神事である禊(みそぎ)には、科学的にも体を洗って清潔に保つ効果があったようです。
もしかしたら、斉明天皇が蝦夷の酋長や、地方の豪族である君と一緒に禊をしたのは、今で言うと一緒に風呂に入ったようなものかもしれません。
モンゴルに精通している司馬遼太郎先生の著作に、おもしろい話がのっていました。
モンゴルでは、みずたまりに悪魔がひそむから入るなと言われているそうです。
みずたまりには、破傷風菌など人体に有害な菌が数多くいます。
みずたまりにはいって病気になったりして、経験的にみずたまりは危険だという生活の知恵が生まれたのではないかと司馬先生は推測していました。
当たり前ですが、きれいな水でないと逆に人体に有害ということですね。
※画像は歴史サイト「飛鳥の扉」様よりいただきました。
貴重な遺跡や発掘された出土品など写真がいっぱいで楽しい歴史サイトですよ。
http://www.asuka-tobira.com/
スポンサーサイト